March 22, 2006

愚図の大いそがし

リンク: 愚図の大いそがし 山本夏彦の本.

山本夏彦翁の著作に「愚図の大いそがし」というのがある。翁が自分のことも揶揄しているのだろう。「私が探すといつも無い」といった翁の言葉の類と思っていた。

ふと気が付いたのだが、これは「魯迅」を翁の言葉で言い換えたのではないかと…。

翁が魯迅を再三引用しているのは、夏彦ファンなら知っていると思うが、「魏晋の気風および文章と薬および酒の関係」や「魯迅のペンネームがツルゲーネフの浮き草のルージンから来ているのではないか」など。確かに、魯迅と夏彦翁はどこか通じるところが有る。夏彦翁が、魯迅をよく読んでいることは間違いないだろう。

魯迅のペンネームが「浮き草」のルージンから来ていると決まっているわけではない(有力な説らしいが…)。他の有力な説として、魯はのろま、迅は速いという意味魯迅Q&Aがある。まさに「愚図の大いそがしい」である。

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April 18, 2005

魯迅とツルゲーネフ

 中国の著名な文学者「魯迅」(ルーシュン)がツルゲーネフの「あいびき」の主人公ルージンから来ているとしたのは、山本夏彦翁であった。翁はなんの引用もしていないので、①あまりに当たり前なのか②翁の独自の卓見の二つの可能性が有る。私は近代中国文学もロシア文学も詳しくないが、魯迅の作品に「狂人日記」があり、ツルゲーネフに「猟人日記」がある。これも偶然の一致とは思えない。魯迅が早くから世界に紹介され、日本でも二葉亭四迷によって訳されたツルゲーネフの「あいびき」などの作品を日本に居た魯迅が全く読まなかったとはむしろ考えにくいので、個人的には魯迅の筆名はルージンから来ているとしてよいと思われる(ちゃんと調べていません)。
 問題は魯迅がツルゲーネフを読むのにあたって二葉亭四迷訳で読んだかも興味がある。おそらくロシア語そのものや英訳ではなく、二葉亭の「あいびき」で詳しく知ったものと推測する。それはなぜかというと、魯迅という名前が中国語の北京音では、「ルーシュン」となってしまい「ルージン」とはちょっと違う音になってしまうことにある(勿論魯迅の名がルージンから来ているという前提だが…)。
 魯迅の故郷である紹興や上海でどのように発音するか興味深いところであるが、魯迅が日本語でツルゲーネフを読み、筆名に採用したのだとしたら…。十分ありうる話だと思う。どなたか専門家に聞いてみたいところである。また魯迅の文学が二葉亭経由のツルゲーネフ理解の下にあったとしたら、世界の文学というものはますます不思議なものだという気がした。

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