« 引っ越しは? | Main | 一流の条件 »

October 04, 2010

考古学と言語学

長田夏樹先生の本「邪馬台国の言語-弥生語の復元-」が学生社から出ていて、旅先(春日井)で衝動買い。長田先生はヨメが翻訳している女真文化研究の本でおなじみの高名なモンゴル語や満洲語(アルタイ語?)研究者である。出版のいきさつは本のあとがきにも娘さんが詳しく書かれているが、まさに長田先生が死の間際にまとめたもの。弥生語の復元と言っているが、古代日本語や言語学の方法論がわかりやすく書かれている。語学マニアにはおすすめ(考古学者に読めといっても読まないだろう)。

長田先生は長野県の出身だったのか…。インターネットの記事を見て知る。ご健在のうちに謦咳に接したが、縁無く残念である。

邪馬台国やいわゆる「魏志倭人伝」に見られる地名や人名は、九州の方言の特徴が見られるとする。あと、私にとって無視できないのは、長田先生に限らないが、言語学者による弥生時代の後半にはすでにアルタイ語(というものが成立するとすれば)の影響が無視できないという説である。古墳時代に到来したいわゆる「遊牧騎馬集団」が日本列島に到来する前に、北東アジアの文化的要素が色濃く見られるということである。

倭人の文化に北東アジアの影響がどの段階ではいってきたのか。弥生時代の頭からなのか、途中なのか。このことはまたじっくり考える必要がある(今の言語学ではわからない)。

さて、言語学は人文系の学問といっても、歴史学徒にはとっつきにくいためか、日本の考古学者には、はったりの学問と見る向きもあるようだ。しかし、私はちゃんとした学問であると思っている。すぐれた言語学者の業績には注目すべきである。もちろんその学問自体の方法論的な制限があって、言語学だけですべて過去の民族や集団の歴史がわかるわけではない(そのためだけに発達した学問でもない)。

しかし、私が言語学に注目するのは、言語学は過去の人類が無意識に残したいろいろな言語学的な資料からいろいろな歴史的情報が引き出せるのである。おそらくそうした資料を残した本人たちが夢にも思わない。このことが極めて重要なのだ。

文献史料はどうしても、その人間や集団が恣意的に行ったものに惑わされる可能性がある。権力を正統化するというような大げさなものばかりでもなくて、人は本質的に本当のことはかけない。山本夏彦翁曰く「人皆飾って言う」これを「ウソ」だと特筆するのはたやすいが、人間の性質なんだからしょうがない。その性質を知った上で研究するしかない。そのために言語学やそして考古学は重要な学問なんだと思う。

|

« 引っ越しは? | Main | 一流の条件 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/90113/49647885

Listed below are links to weblogs that reference 考古学と言語学:

« 引っ越しは? | Main | 一流の条件 »