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January 2008

January 31, 2008

善光寺瓦見学

過日、長野市埋蔵文化財センターさんのご好意でようやく?善光寺境内出土瓦を見学させていただく。

瓦の展示をやったとはいうものの、古代瓦についてなにか目新しい所見が出せるわけもないが、さまざまな付随する情報をご教示いただけて、よかった。

例の湖東式の軒丸瓦は、滋賀県以外だと、福井県にしかないそうである。早速、ホームページ検索してみると、福井県の例が紹介されていた。(福井県史通史編

上記のホームページは小笠原好彦先生の意見を引用していて、「この祖型は百済の首都扶余の軍守里廃寺や、中国吉林省の渤海時代の遺跡に求められる」そうだ。

長野市の担当者の方も、滋賀県から日本海ルートで湖東式瓦の文化が伝わった可能性も考えておられるようだが、私も賛成である。

そうしてみると、ほかの長野県の古代瓦の起源やルートを見る目も変わってくる。たとえば、雨宮廃寺の瓦と同系の瓦が新潟県新井市で出土している。また明科廃寺の瓦は岐阜県飛騨地方である。いずれも日本海水系である。

これらの瓦はみなおおもとはあるいは近畿地方かもしれないが、日本海ルートを重視すべきか。滋賀県で出たとなるとすぐ東山道ルートという発想が出てきそうだが、稲荷山の信楽焼の話ではないが、日本海水運ルートは前近代において一大ルートであった。

さて、話変わって朝鮮半島との関係でいえば、百済びいきの私としては、百済に祖形があるというのは、善光寺の伝承と符合していそうで、一見よいのだが、渤海との関係ももしもあれば面白そうではある。善光寺境内からは出土例はないが、千曲川流域(おもに右岸)では蕨手文(雲紋)の軒丸瓦が出ている。雲紋の瓦もそれこそ吉林省などからも出土しているので、そこらへんの地域とも比較したいものである。

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January 27, 2008

侍塚古墳と那須国造碑

 水戸黄門が発掘調査したことでも(実際は助さん格さんが発掘した?)有名な(上)侍塚古墳とすぐ近くにある那須国造碑について、わかりやすくかつ最新の研究成果をまとめた好著である。
 さて、この本は地域の考古学をやる醍醐味をあらためて感じさせてくれる。水戸光圀公がそうであったように侍塚古墳と那須国造碑はどのようにかかわりがあるのか。を答えてくれている。光圀公の時代は侍塚古墳と那須国造碑の時代関係を歴史学的に知る手立てがなく、墓碑を探してその結果を得ようとしたのである。もちろん今日の考古学的成果から見れば、古墳時代の前半と奈良時代直前では約300年から400年のタイムラグがある。では、両者の比較は無意味なのか。
 その答えは本書の中にある。結論からいうと光圀公の視点は間違っていない(もちろん侍塚古墳は那須国造イデの墓ではないが)と真保さんはいう。私も同感である。
 縄文時代や弥生時代は考古学の独壇場で、中世以降はどうしても文献史学中心であるが、この古墳時代から律令期にかけての「古代」の時期を地域という縦糸と考古学と文献史学の横糸で織りなす模様は壮観である。
 私の興味からいえば、とくに新羅系渡来氏族のことが文献と考古資料がマッチしているのが、うらやましい。過日の私のコメントは恥ずかしい限りである。ただ、私は個人的に百済びいきなので、「百済の影響もないのかなあ」とやはり、ふと思うのである。

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January 23, 2008

二人の「好古」

日露戦争時、騎兵を率いて、日本の勝利に貢献した秋山兄弟の兄の名が「好古」というが、一般に『論語』述而篇の子曰「我非生而知之者。好古敏以求之者也。」あるいは子曰「述而不作。信而好古。」からの引用と言われているようで、有名な一節であるので、私もそれはそれで正しいのだろうと思う。

おそらく偶然の一致だろうが、金末の詩人元好問の兄に好古がいる。この場合、元家の通字あるいは世代を示す行列字のようなものかもしれないが、元好古の名もあるいは論語のこの一節を踏まえているのかもしれない。

論語は中国でも、日本でも有名な古典であるので、こういうことは十分ありうると思うが、さて、ここで述べたいのはそのことではない。元好古は、金末期の軍人であったらしく、モンゴルの侵入時に戦死しているらしい。弟の好問は詩人として有名であったので(また軍人ではなく、文人であったこともあったのだろう)、元には仕えなかったが、助命されている。

秋山兄弟がこの故事を知っていたか、知りたいところである。


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