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April 18, 2005

中国の毒蔵先生「魯迅」

 中国の反日デモをみていると、いくつかの文学が思い出される。一つはパール・バックの「大地」、山崎豊子の「大地の子」そして魯迅の一連の作品だ。
 漢文学ではなく中国文学を目指したはずの武田泰淳が現代中国と史記の世界があまりにも似ているのにショックをうけて(勿論その本質部分だろうが)、「司馬遷 史記の世界」を著したことは有名だ。日本の歴史を見てもその本質的な部分で江戸時代の風習や思考法から私たちが抜け出せないのだから、本質的にはかなり保守的な中国の人がその歴史的発想から抜け出せないのも当然だろう。
 さて、その中国人の本質的な部分を抉り出している魯迅だが、勿論ペンネームである。本名は周樹人。魯はのろま、迅はすばやいという対義語を接続したとも(夏目「漱石」、石で口を漱(すすぐ)という屁理屈。中国の古典の引用のようなものか?)、とくに魯は母親の姓だから一見もっともだ。
 ただ、私が捨てきれないのは山本夏彦翁が紹介しているツルゲーネフ作『あいびき』(邦訳は二葉亭四迷・原題はルージン)の主人公「ルージン」から来ている説である。(翁はとくに引用文献を明示していないので、翁の説である可能性もある。)魯迅の複雑なキャラクターを考えると捨てがたい。『あいびき』が日本で出た後に日本に魯迅はいたのだから読んでいておかしくない。
 ちなみに北京語では魯迅は「ルーシュン」だが、上海や紹興ではどのように発音するのだろうか。清末から現代中国の作家や著名人の名前をしきりに北京音でフリガナをふる人びとが多いが、南方人にとっては、外国語で名前を読まれているようなものではないのか。私はむしろ中国の著名人の名前は日本語読みするほうがむしろ好ましいと考えるが、「魯迅」先生ならなんというのでしょうか。

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