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April 18, 2005

魯迅とツルゲーネフ

 中国の著名な文学者「魯迅」(ルーシュン)がツルゲーネフの「あいびき」の主人公ルージンから来ているとしたのは、山本夏彦翁であった。翁はなんの引用もしていないので、①あまりに当たり前なのか②翁の独自の卓見の二つの可能性が有る。私は近代中国文学もロシア文学も詳しくないが、魯迅の作品に「狂人日記」があり、ツルゲーネフに「猟人日記」がある。これも偶然の一致とは思えない。魯迅が早くから世界に紹介され、日本でも二葉亭四迷によって訳されたツルゲーネフの「あいびき」などの作品を日本に居た魯迅が全く読まなかったとはむしろ考えにくいので、個人的には魯迅の筆名はルージンから来ているとしてよいと思われる(ちゃんと調べていません)。
 問題は魯迅がツルゲーネフを読むのにあたって二葉亭四迷訳で読んだかも興味がある。おそらくロシア語そのものや英訳ではなく、二葉亭の「あいびき」で詳しく知ったものと推測する。それはなぜかというと、魯迅という名前が中国語の北京音では、「ルーシュン」となってしまい「ルージン」とはちょっと違う音になってしまうことにある(勿論魯迅の名がルージンから来ているという前提だが…)。
 魯迅の故郷である紹興や上海でどのように発音するか興味深いところであるが、魯迅が日本語でツルゲーネフを読み、筆名に採用したのだとしたら…。十分ありうる話だと思う。どなたか専門家に聞いてみたいところである。また魯迅の文学が二葉亭経由のツルゲーネフ理解の下にあったとしたら、世界の文学というものはますます不思議なものだという気がした。

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