蘭学事始
「蘭学事始」の内容はよく知っているが、実際はいったいどういう本なのかちゃんと読んだことがないので、長野市内のT古書店で購入して読んでみる。岩波文庫でそんなに厚い本ではないので、すぐ読めました。
それにしても、蘭学が始まった頃は、ろくな辞書もないのだからその苦労はいかばかりか。福沢諭吉は涙したという。
杉田玄白さんは最近の研究では、解体新書の「翻訳」には関わっていなくて、前野良沢が実際は活躍したとも言われているらしい。
しかし、杉田玄白は「お金」と「人徳」があった人のようだ。前者はこういう当時としてはすぐにお金にならない翻訳を何年もやれたことからわかる。当時から医者は金持ちだったのだろう(なんでも○毒治療を得意としていたらしい)。後者は「腑分け」を幕府の役人を通じて、やれたことである。蘭学事始にはさらっと町奉行の配下の役人が知らせてくれたことになっているが、これって杉田玄白がそうとう町奉行所などに食い込んでいたからできたことなのだろう。
学術的には前野に劣るかもしれないが、おそらく清濁あわせのむような杉田あっての解体新書の翻訳はあったのだろう。誰かここらへん小説化していないのか…。
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